重さ400グラム、通常のおよそ2倍の特大ウナギが誕生し、話題となっています。
特大ウナギが生まれたのは愛知県西尾市。西尾市は全国で有数の養殖ウナギの産地です。
市内の養鰻業者でつくる一色うなぎ漁協が愛知県水産試験場などと共同で量産化に成功しました。
全国にその名が知られる”一色のうなぎ”。この地域で養殖が始まったのは1904年(明治37年)。
1983年から1997年まで生産量日本一を誇っていた一色のうなぎですが、シラスウナギの不漁などで1990年代後半から養鰻業者が減少。
2009年を除いてこの20年、鹿児島県に日本一の座を譲っています。
一色うなぎ漁業協同組合 山本浩二組合長:
「1番がいいのか2番がいいのかというと、1番がいいというのは当たり前のこと。なかなかシラスウナギ(稚魚)の採捕ができないというのもありますし、苦しい状況が続いている」
実はこの養殖ウナギ、簡単には生産量を増やせないある弱点がありました。
愛知県水産試験場 稲葉博之研究員:
「養殖のウナギは大半がオスというふうに言われております」
養殖ウナギの大半はオス。水産庁の調べによると、市場に出回っている養殖ウナギの9割以上はオスです。
そのオスの特徴が抱える問題とは…
愛知県水産試験場 稲葉博之研究員:
「なかなか大きくなりにくい。そして大きくなっても身が硬くなりやすい。こういった課題がありました」
なんとか養殖ウナギの成長を早めることができないか?そこで生まれたのがこの特大ウナギでした。
研究が始まったのは2017年5月。 大豆に含まれる大豆イソフラボンの栄養を与えることで成長のスピードを速めることに成功。
およそ5年間、餌やりの量やタイミングを変えるなどして試行錯誤を続けました。
その結果…
愛知県水産試験場 稲葉博之研究員:
「試験を行っていく中で、(1つの水槽から)71匹のうち65匹のウナギが狙った結果が得られた。やはり大きなウナギができることで、ウナギ資源の有効利用につながる技術が開発できるのではないかと思いました」
2021年11月に特許を取得。量産化のめどが立ちました。
背中とお腹の境目がはっきりと分かれているのはおいしいウナギの特徴。味も期待できそうです。
2022年2月に西尾市で特大ウナギの新メニューの試食会が開かれました。試作したのは、うな重です。
通常のウナギでは1匹丸ごとで1人前ですが、特大ウナギなら半身一切れで同じ量になります。
重箱のご飯の上に敷き詰めてみましたが、思うようにきれいに盛り付けることはできませんでした。どうやら切り方には工夫が必要なようです。
一方、気になる味は…
一色うなぎ漁業協同組合 山本浩二組合長:
「やわらかい。冷たくなってもやわらかいね」
味は満足の様子です。
結局今回は長焼きのみを商品化することになりました。
気になる価格も通常のウナギの2人前より安く提供できる見込みで、愛知のウナギの復権に期待ができそうです。
資源の有効活用につながる特大ウナギは今後安定した商品提供に向けて検討を進めていく予定とのことです。