中学生を対象に、最新の3D技術を活用して海洋生物の研究をする「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」。
愛知県から、3期生として参加した渡邉翔さんの活躍は、以前もお伝えしました。
現在、高校1年生になった渡邉翔さんが、中学生を対象に、深海と3Dをテーマにした探究講座を3日間にわたって行いました。
講座が行われたのは愛知県立半田高等学校附属中学校の教科横断探究weekの一環です。教科横断探究weekでは、教科の枠を取り外した探究活動を約1週間実施し、探究活動を通して、中学生徒の探究スキルを培います。中学校の先生だけでなく、半田高校の先生、生徒が講師になって、10の講座を開催しました。
翔さんが担当した講座は「3Dを使って深海の怪物を調べよう」。
海と日本プロジェクトの3Dスーパーサイエンスで学んだ経験をもとに、深海生物の「なぜ」について、3Dプリンターを活用した探究を行う講座です。
今回、翔さんが取り上げた深海の怪物は「深海ザメのラブカ」。
捕獲や飼育事例が少ないことから、まだまだ謎に包まれている魚です。
ラブカの歯はなぜ、フォークの形をしているのか?最新の3Dを使ってこの謎に迫りました。
翔さんと参加者たちは、歯がなぜフォークの形をしているかの仮説を立てた上で、実際に3Dモデルを使って実験を行い、仮説検証し、それを考察することで探究のプロセスやポイントについて学んでいきました。
講座を終えた翔さんに感想を聞いてみました。
Q.参加した皆さんの反応や手ごたえなどはどうでしたか?
皆さん真剣に僕の話を聞いてくださり、少しでも深海や3Dに興味を持って頂けたと思います。
特に、3Dモデル(一般的なサメとラブカの歯型)を使った実験は、実際に体験しながら学ぶことができ、反響が大きかったです。
中学生の受講者は、3人と少数でしたが、中等部の次年度受験者向けの学校見学も同時開催となっており、見学に来られた小学生やその保護者の方々にも急遽参加して頂いたため、
多くの方の前で講師をさせて頂くことができ、とても良い経験となりました。
Q.3Ⅾスーパーサイエンスで学んだ事は今回、どんな点で役立ちましたか?
プロジェクトでは海洋をテーマに探究活動と3D技術について学びましたが、今回の講座では、その多くが役に立ちました。
探究のプロセスはもちろん、今回のテーマである深海ザメ「ラブカ」を探究するにあたっては、その希少がゆえ観察用の標本などは簡単に用意することができないので、
3Dプリンターのメリットである「複製、プロトタイプが容易」を活かし、観察用モデル(ラブカの歯型)や実験器具を製作して探究を行いました。
Q.今後、また機会があれば、どんな講義をしたいと思いますか?
有難いことに受講生からは「来年も講座を開いて欲しい」との声もありましたので、機会を頂けるのであれば、次回は異なる海洋生物をテーマに、海についてより関心を深めていただけるような講座をしたいと考えています。
また、講座ではありませんが、昨年に参加させて頂いた蒲郡深海魚まつりでは、プロジェクトの経験を活かしたトークショーをさせて頂きましたが、そのようなイベント等にも機会があれば是非参加したいです。
「海のキッズサポーター」にも登録をしてくれていた翔さん。実は、海プロ愛知では、翔さんの活動を小学生のころから、紹介していました。
Q.以前と比べて、夢ややりたいこと、好きなものなど、変化はありましたか?
今もなお、海に関わる全てが好きです。深海愛については以前よりパワーアップしていると思います。
夢も変わらず、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究員ですが、最近では、自分自身が楽しみながら世の中の役に立つ研究(海洋問題についての研究や、生物の形質を活かすバイオミメティクスの観点から深海や深海生物を研究など)を行える研究機関の創設という新たな夢も増えました。
現在、SSH自然科学部海洋班に所属している渡邉翔さん。今回の経験をいかして、ますます海への愛を深めて、パワーアップした活躍をされること、期待しています!