愛知県岡崎市のイオンモール岡崎に構えるミュージアム「岡崎金魚ミュージアム〜龍と金魚のものがたり~」。日本伝統の金魚と現代アートを組み合わせた“異空間アクアリウム”です。なんと8月31日で閉館となってしまうそうで……。その最後のイベントとなる「金魚夏祭り」を体験してきました!
2024年11月22日にオープンした「岡崎金魚ミュージアム」。アクアリウムプロデューサーの「GAKYO MIYAZAWA」によるデザイナーチームが、色彩豊かな現代アートと昔ながらの金魚の芸術を融合させた、絢爛豪華な世界をつくり上げました。
入口には、夏祭りの屋台でおなじみの金魚すくいやスーパーボウルすくい、水ヨーヨーが用意されていました。縁日の雰囲気が漂いながらも、隣接するのはファッションブランド「GAP」。大型ショッピングモール内の金魚ミュージアムという “ギャップ”も面白いですね。
6つのゾーンに分かれた館内には、40種類の金魚が展示されています。金魚の数は約1000匹! それぞれのエリアのコンセプトに合わせて優雅に泳いでいます。
ゾーン1「無限金魚」には、金魚を模した無数の提灯が吊り下げられています。通路にはたらいを水槽に見立てて金魚を展示。その後ろには、お客さんの願いが書かれたハート型の絵馬や、屋台を彷彿とさせるキツネのお面があしらわれています。
提灯をくぐると見えてきたのは、木製のたらいの中で泳ぐ金魚たち。こちらは尾びれが3つに分かれている「三尾和金(ミツオワキン)」です。ちなみに和金は金魚すくいでもよく見かける品種です。
水中にはビー玉や輪投げが飾られていて、まるで私たちと一緒に夏祭りを楽しんでいるかのようでした!
そもそも金魚の祖先は何なのでしょう? と疑問に思いながら見ていると「金魚系統図」の掲示を発見! 実は金魚の祖先はフナなんだそう。人の手によって交配されて突然変異が起き、現在のような美しい個体が数多く生まれたといいます。
金魚系統図の中心にある丸い形をした「琉金(リュウキン)」や「出目金(デメキン)」は、和金から変異したのですね!
ランチュウと東錦(アズマニシキ)を交配させた「江戸錦(エドニシキ)」。お祭りなどで見かける赤色の和金(ワキン)と違って背びれがなく、丸い形をしていますね。色も白や黒、青のような浅葱色(あさぎいろ)も混ざっていて優美です。
赤と白の更紗模様(まだら模様)が特徴的な「桜錦(サクラニシキ)」は、先ほどの江戸錦とランチュウを交配させたもの。桜の花びらのような淡い紅白は、ずっと見ていられるほど美しいです。
涼し気な風鈴の音が聞こえてきたのは、ゾーン2「電気金魚」。ここではプロジェクションマッピングを使って、デジタル金魚すくいとおみくじが体験できます。頭上には金魚の絵が描かれた風鈴、そして前方には風鈴の映像とともに泳ぐ「庄内金魚」の姿が!
「この金魚、映像?本物?」と見間違えてしまうほど、背景の風鈴の映像とマッチしていました。
ゾーン3「煇夜金魚」は、金魚をかぐや姫に見立てた日本らしい空間。竹やぶの中や朝顔に囲まれながら可憐に舞う金魚を眺めることができます。
尾びれをなびかせながら水面をゆらめく「イエロー紅葉(モミジ)コメット」。コメットは、和金と琉金(リュウキン)を交配してつくり出された品種です。元気いっぱいに水槽の中を泳ぎ回る様子が印象的でした。
竹やぶのゾーン3を抜けると、そこには武者絵やピンクや赤の鮮やかな花で埋め尽くされた空間が現れます。ゾーン4「殿姫金魚」は金魚と一緒に撮影できるフォトスポット。伝統的なモチーフをポップな色で彩り、現代アートとの融合を体現しています。
筆者が気になったのは「ピンポンパール」。ぽてっとした丸っこいフォルムがかわいらしいですね! 「珍珠鱗(ちんしゅりん)」といわれる真珠のような形をした鱗を持ちながら、ピンポン玉のような見た目をしていることから「ピンポンパール」と呼ばれているそうです。
先に進むと、大きな龍のイラストが目を引く水槽が見えてきました。この龍は、徳川家康の生誕の地として知られる岡崎市に伝わる「昇龍伝説」になぞらえて描かれています。
家康が誕生した日の朝、岡崎城の城楼の上に風を招く金の龍が現れて昇天したといわれる「昇龍伝説」。ゾーン5「岡崎金魚」では、そんな龍の伝説とともに、地元の祭りの屋台と金魚をコラボレーションさせた水槽が展示されています。
祭りの屋台と提灯の上を、金魚が飛んでいるように感じますね!
「東海錦」の水槽では、懐かしいウォーターゲームを発見! 背景には色とりどりのビー玉がきらきらと輝き、昭和レトロなおもちゃが絶妙なアクセントになっています。東海錦の艶やかな鱗が映えるような仕掛けになっていて、ポップでありながら、どこかノスタルジックな空間が広がっていました。
お客さんからも「ねぇ、これ見てー!」と注目を集めていたのが「水泡眼(スイホウガン)」。中国でつくられた金魚で、目の下がぷくっと膨れています。この水泡になった部分は目の下の角膜だそう。一度破れて小さくなると元の大きさには戻らないといいます。
そんな岡崎金魚ミュージアムを案内してくれたのは、館長の本田雅人さん。本田さんが特におすすめするのが、昇龍伝説をモチーフにしたゾーン6「龍神金魚」です。
見上げると、大きな龍が天を駆けています。奥に飾られた番傘は雅やかで、なんだかイオンモールであることを忘れてしまうほど、芸術的な空間です。
中でも「ジャンボ和蘭獅子頭(オランダシシガシラ)」は大きな見どころの1つ。ライオン(獅子)のたてがみのような見た目から、その名が付けられたといいます。
岡崎金魚ミュージアム館長 本田雅人さん:
「『和蘭獅子頭(オランダシシガシラ)』は、頭部の肉瘤(にくりゅう)と呼ばれる部分が大きくなった品種。普通サイズの和蘭獅子頭とは別の品種で、思いのほか大きなサイズです。ぜひ写真に撮りながら、じっくりと観察してみてください!」
ちなみに普通サイズの「和蘭獅子頭」がこちら。水槽の演出も美しく、龍が持つ宝玉をイメージしているかのような透明な球体からはスモークが出ていて、神秘的な雰囲気を放っています。
本田さんは最後に、「イオンモールの中で、多種多様な金魚を見て、楽しむことができるユニークなミュージアムです。8月末に閉館してしまうのでちょっぴり寂しさを感じますが、夏を感じたくなったらぜひ、当館にお立ち寄りください!」と話していました。
「岡崎金魚ミュージアム〜龍と金魚のものがたり~」と「金魚夏祭り」は8月31日まで開かれています。閉館前に、夏祭りの気分を味わってみてはいかがでしょう!