絶滅が危惧されている「コククジラ」の骨格標本展示開始式が、2023年12月に行われました。東京海洋大学のマリンサイエンスミュージアムで誰でも見ることができます。
日本財団 海洋事業部 中嶋 竜生部長:
「海洋大学さんにここに飾っていただけるのも、次の研究に生かされることもそうです。子どもたちの次の海や3Dに触るきっかけになることが大事だと思います」
この骨格標本は、2016年の千葉県南房総市和田浦で打ち上げられ、海岸に埋められていた2歳から4歳のメスのコククジラです。体長は約9メートル、推定体重は7トン。
「日本財団・海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」の研究生たちが2023年1月に掘り起こし、3Dデータと骨格標本を作成しました。
――骨格を掘り起こしたときはどう感じましたか?
1期生 中学3年生 杉本拓哉さん:
「クジラの発掘について本で見たことがあって、自分でやってみることができたのはすごくうれしかったです」
1期生 高校2年生 栗山奈月さん:
「掘り出していくと どんどん骨が見つかって。『こんなものが海に漂着したんだ』と不思議に感じました」
東京海洋大学では、博物館などでよく見る頭から尾まで組み上げられた「交連(こうれん)骨格」ではなく、骨格をバラにした状態「晒(さら)し骨格」で展示されます。交連骨格よりも利用価値が高く、研究資料として活用しやすいのです。
骨格標本の近くには研究生たちがスキャンした3D映像も展示。コククジラの立体的な形が分かるようになっています。360度動かせるので、好きな部分をじっくり観察できます。
開始式の中に、ひと際目を輝かせている1人の研究生がいました。プロジェクトの3期生として愛知県からやってきた渡邉 翔さん、中学2年生です。
――先輩たちが掘り起こした骨格を見ていかがでしたか?
3期生 中学2年生 渡邉 翔さん:
「実物を見たことがないクジラだったので感動しました。同じ哺乳類なのに、クジラは海で適応する骨を持っています。骨が語ってくれるので、とてもおもしろいと思いました」
――3Dを学ぶ研究生に望むことは?
海洋研究3D スーパーサイエンスプロジェクト 代表 吉本大輝さん:
「アニメーションや映画、ゲームなどの分野で3Dが使われています。今後、中学生は進路を決めていくと思います。3Dと自分がやりたいことを掛け合わせて、何か行動を起こしてくれるのではないかと思います」
「日本財団・海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」の関係者や研究生など、約100人が掘り起こしたコククジラの骨。一度じっくり観察してみてはいかがでしょう!
https://www.s.kaiyodai.ac.jp/museum/public_html/